塚立 すみれ学園

□その女ガサツにつき!(後編:パーティーナイト)
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「うるせぇな、ったく。あんなのきれっかよ」
ぼそりと呟いたのに、苺は聞き逃さない。
「素敵なドレスじゃない、しかも沢山!和央は背高いんだから似合うわよきっと。」
と言いながら、和央に近づくと、ブリーチして痛んでいるボブカットの髪に手をのばした。
「ここに、コサージュで白い大きな薔薇を付けて、首には真珠のネックレス、白い肩を大きく出したマーメードスカートのドレスなんか着たら、御姫様みたいだよキット!学園中の騎士<ナイト>がほおっておかないな〜」
「え?騎士<ナイト>?!先生、何か知ってるの?」
お姫様、騎士<ナイト>その言葉に和央が反応しない訳がなかった。
「は?何かって???」
「え、・・・あ・・いや」
姿月が語っている話もしらない筈の苺に、聞いても何も分かる訳がないのに、自分は何を焦って聞いてしまってるんだろう。どうかしてる。自分だって、何も訳が分からないというのに。
「あぁ、騎士<ナイト>ってのはね、この学園の男子生徒のことを別名でそう呼んでいた時代があったのよ。」
「え?」
「私もこの学園の卒業生なのは知ってるでしょ?私達が卒業するときに、この“別名”は廃止されちゃったけどね、それまでは男子生徒は全員『騎士<ナイト>』、女子生徒は『姫』と呼ばれていたのよ」
和央はその話に聞き入った。
何か、姿月の語る「永遠の絆をもった姫と騎士」の謎を解明できるヒントなのかもしれないと。
やはり、知りたい。
「好き」ではない「絆」とは何なのか。
あの貴姫という女子と姿月の関係がしりたい!と。
本当に恋焦がれる「好き」でないのなら、『ソレ』が『何か』であって、二人の思いも関係も恋ではない『何か』なら、自分の思いが叶う日がくるのかもしれないと。
淡い希望は捨てきれない。
「それが、どうしたの?」
「先生!もっと詳しく聞かせて!なんで『騎士<ナイト>』と『姫』なんて呼んでいたのかを」
「・・・・・」
苺は沈黙し、和央を真っ直ぐに見ていた。
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