塚立 すみれ学園

□その女ガサツにつき!(後編:パーティーナイト)
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「そういう意味じゃなくてなぁ・・・」
はぁ、とため息をまた一つして真琴は貴姫をみた
どこか自分を怖がっているような感じが伝わってくる
「ユウちゃんが来るまで待ってますし、いざとなれば自分で歩けますし」
「二つ伝言がある」
「ほぇ?」
急に話題がそれたので貴姫は間抜けな声をだして真琴を不思議そうにみた
「1つ、ジュンからメールで頼まれた『大切な用事がある 貴姫を頼む』と『ついでに日曜日も忙しいので貴姫の部活頼みます』。
2つ、絵馬尾は家に戻るらしくてさっき迎えの車で帰る時にお前を頼むってよ。
責任を果たせってさ。俺とでもジュンが一緒ならお前も大丈夫だからとか言ってたな」
「ユウちゃん・・・帰っちゃったんだ、そっか忙しいのね」
「俺と2人っきりは嫌なのか?いやなんだな。
嫌だってオーラが出てるしな」
そう言われて貴姫はカチコチに強ばってしまった。
どう言えばいいのだろうと頭をぐるぐる回転させても、真琴が側に居ると何も上手くいかない気がする。
そんな貴姫の様子を見て真琴は内心楽しくもあり、淋しい気持ちも沸き上がった。
自分は貴姫を気にしているからだ。
大切な存在だからだ。


「・・・嫌いじゃないです」
一生懸命考えて貴姫は告げた。
「じゃ好きになれよ」
「えっ!?」
真琴がいきなり顔を近づけて真剣な顔で言うので、貴姫はビックリして思考が止まってしまった。
静まりかえった教室
真琴は貴姫に背を向けて窓の傍へ立った。
「プッ・・・わははは」
真琴が盛大に吹き出して、貴姫の思考力は急回転でもどった。
まただ!またからかわれた!!
だから苦手だし嫌なのに
先輩といると自分を保てない。振り回されて、訳がわからなくて、ドキドキしっぱなしで、きがやすまらない。だから拒否反応が出てしまう
次は何をするのだろうとドキマギなのだ
でも心の底から本当に嫌いな訳じゃない。
不快じゃない。
そんな風に考えて真琴の笑っている背中を机から睨む貴姫は知らないのだった。

真琴の頬が真っ赤に染まっていて、自分でも「何言ってんだ俺」と内心ドキドキと乱れている事を。
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