頂き物

□素が良いから
1ページ/1ページ


嬉々として、何故か逆らえない雰囲気を醸すアイシー・クララ・リオーネの三人が私の背を押す。
ニヤニヤと気持ち悪く笑うバーンとグランに見送られながら別室へ。
そして数分。
罰ゲームとは云え、これはっ…!

「…嫌だ。行きたくない」
「ダメです」
「ほら、行きますよ」
「何でこんなっ…!」
「罰ゲームなのでしょう?仕方ないじゃないですか」

何故そんな満面の笑顔なんだ!
そう言う隙も与えられず。
無情にもバーン達が待つ部屋へ連行された。
こういう時に限って何故腕力で振り解けない!?
女、ましてや大事なチームメイトに力尽くでなんて、という無意識フェミニスト精神が働いている理由にガゼルは気付かない。

「あ、待ってたよガゼ――え?」

グランの声が途切れた。
言葉にせずとも察せる。
私の姿を見たからだろう。
嗚呼もう恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!!
女装だなんて何を考えてるんだチューリップ頭!
似合う筈が無いだろう!(似合っても困るが)
貴様の脳内は遂に腐ったか!!
ぐるぐるつらつらとバーンを罵るも、余りの羞恥に声が出ない。
意地でも顔を上げるものか!と俯いているが、やはり恥ずかしいものは恥ずかしい。
だから、気付かなかった。
バーンの顔が、それこそ真っ赤になっているのなんて。

「……………」

ぽかん、と口を開けたままガゼルを凝視するバーン。
魅惚れてる。
なんたって今のガゼルってば凄く可愛いから。
そこらの女子なんて霞み褪せる程の可愛らしい服を着ている。
ガゼルだからこんなに可愛く着こなせるんだろうね。
かく言う僕も流石に息を呑んだ。
ダイヤモンドダストの女の子達の気合いの入れようも凄いけど。
一頻りガゼルの女装姿を眺めて、一つ頷く。
さて、お邪魔虫は退参しようかな。
彼女達に視線を送れば、解っていると言わんばかりに頷かれ、部屋を出ていった。
うん、流石ガゼルのチームメイト。

「じゃあ、僕は用事があるから、ごゆっくり〜」

聴こえているのかいないのか。
多分聴こえてないんだろうなぁ、と思いながら、グランは円堂の元へ向かった。
ぱたん、と扉が閉まる。
グランの予想通り、それに気付かず、バーンはただガゼルを見つめる。
アイシー達が選んだ可愛らしくも綺麗な服に身を包んだガゼル。
さっきから俯いていて、けれどバレないよ
うに顔を覗き込んだ。
そして、息を呑む。
ほわりと薔薇色に染まった白い頬、きゅっと寄せられた眉。
少しだけ潤んだ瞳で小さく唇を尖らせ、拗ねた表情。

「(すっげぇ可愛い…!!)」

先程の気怠い仕草と相俟って、表情とのアンバランスさが男を惑わせる。
女の格好をしているから余計に理性をぐらつかせた。
本能に従うまま手を伸ばす。
薔薇色の頬にそっと触れ、顔を上げさせた。
然程抵抗も無く向き合う。
けれどその蒼は頑なにバーンを映さない。
それが嫌で、バーンはこつんと額を合わせた。

「流石、俺のガゼル。すっげー可愛い…」

できるだけ甘く囁けば、伏せていた瞼をふるりと震わせ、ちろりと視線を送ってくる。
しかし恥ずかしいのに変わりないのか、すぐにふいっと視線を逸らした。

「…う、れしくない…」

素直じゃねーなぁ、とバーンは笑って。
耳まで真っ赤な恋人を、ぎゅうぎゅう抱きしめた。

素が良いから
(どんな格好をしても)(やっぱりガゼルは可愛い!)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

相互記念でいただきましたー!
ありがとうございます!
もうやばい、鼻血やら鼻水がずびずびゃでますよー!
女装好きにはたまらんですなぁ、ふー(^O^)←
本当にありがとうございます!
何回感謝してもたらない!
今後もどうぞよろしくお願いしますー!

 
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ