★〜club 双龍〜★
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「まあ、いい。…もうすぐ新しい子、来るんだろ? 全く…オーナーの俺を差し置いて、なぜ政宗が面接するんだ?」
「小十郎と可愛い子を二人きりにさせられるワケねーだろ?」
「…心配してるのか? 可愛いヤツだ」
「違げーよ! 見境がないってことだな」
小十郎は政宗の可愛い嫉妬に内心喜んでいたが、それを見せると間違いなく政宗は調子に乗るので、ぐっとこらえて、眉間に皺を寄せた。
「しかし…もうそろそろ、、、」
―――――コンコン
…失礼致す
ノックに応えて、政宗がHa〜iと声を上げると、ドアが開いた。
政宗より少し背の小さい、ライトグリーンのシンプルなサテンスーツを着た子が入り口に立つ。
「よう! Good morning! Ah〜…
モトナリ…って源氏名でいいんだよな?」
「構わぬ」
「Ok! じゃ、基本教えるから席に座って待ってろよ」
モトナリ、と呼ばれたその子は小十郎に軽くお辞儀をすると、無表情のままで席に着いた。
「ちょ…待て、政宗コラ」
カウンターの中に入ってきて、練習用のグラスや氷、アイスペールなどをカチャカチャ用意している政宗をむんずと捕まえ、隠れるようにしゃがませると小声で話し始めた。
(いや、確かに可愛い、美人だ。肩までの髪から少し見える耳もいい、しかし…な)
(何だよ! 可愛いなら問題ねーじゃねえか。俺の鑑定眼もなかなかだろ? 人気出るぜ?)
(…うちはツンデレ喫茶じゃねえんだ! 二人揃ってツンデレどころか、お前らツンツンだけだろ、寧ろ!)
(いいじゃねーか、他のクラブと住み分けが出来て)
「オイ、ちょっと。待てって…」
話の途中で政宗は、さっさと立ち上がり、ボックス席へ向かう。
―――――ガチャッ、カラコロン…
…今日も静かだな
ノックもなく急に扉が開くと同時に、低い声が狭い店内に響く。
(続く)