★〜club 双龍〜★
□(1)
4ページ/4ページ
「よお! アンタ美人だなぁ…コレやるよ」
元就の横にドカリと座って、真っ赤なバラの花束を差し出した。
「いらぬ」
「わ――――――――ッ!
何? 何? モトナリちゃん、バラ好きだって? 元親様、ありがとうございます!」
小十郎が懸命に元就の言葉をかき消そうとしたが、それもむなしく、見事にその場は静まり返った。
―――――クッ…ハハハハッ!
緊張した静寂を打ち破ったのは、元親の笑い声だった。
「気に入った! いいじゃねぇか。媚びを売らないその姿勢! 俺はこの子を落とすまで通うぜぇ? なぁ、久秀!」
久秀はククッ、と笑うと、横の政宗に耳打ちをした。
「彼はドMでね…」
政宗もくすくす笑って、小十郎に目で合図をすると、彼はそっと洗面台の方へ向かう。
「あれ…久秀は違ったっけ?」
政宗は必要以上に久秀の耳に唇を寄せて、甘い声で囁くと、すまねえ、ちょっとトイレ、と久秀の頬にキスをして席を立った。久秀は愛おしそうに、政宗の髪を撫でたが、胸元で携帯が鳴ったせいか、急いで彼も席を立ち、一旦外へ出た。
(2へ続く)