ログ

□tights
1ページ/1ページ



ソファに座って、足を組んで、新聞紙をめくる
へえ、密輸取引現場押さえられちゃったんだ(うちの組織じゃあないけど)
ちなみに、隣にはメローネが座っている

気になるものがある

いつもなら顔、耳、首筋、鎖骨、胸、腰……と様々な所を徘徊する奴の視点
それが今日は、一つに定まっていた
今日は、脚だった
組み替える度に目がそれを追っているのがわかる
こんなただならぬ熱視線、気にならないほうがおかしい

「何よメローネ」

顔をあげて抗議のつもりできつく言う
ああでもこう反応してしまうとあっちは喜んでしまうだろうなあ
それは分かってるけどさ、いい加減にして欲しいよ
そしたらあいつ、しらばっくれやがった

「んー?何、とは?」

何、ですって?

「だからっ!さっきからジロジロ人の脚見て!うっとおしいったらないの!気持ち悪い」
「ジロジロじゃあない、ネトネトだ」
「尚悪いッ!!」

新聞紙を丸めて思いっきり頭を叩けば(いい音がした)、『ディ・モールト良い!ジャッポーネケンドー?』なんて聞いてきやがる
まあ紙だから大してダメージ与えられないなんて分かってたけど

「それはそうと」

新聞紙を取られ、そのまま後ろにぽいと投げ捨てられる
そしてやつが一人分こちらに近づき座り直す(正直同じだけ退きたかったけど、残念ながらわたしは端に座っていた)

「ここ」
「あ、」

指さしたその先は、確かに脚だった
でも、そこからは小さく肌色が見えた

今日寒くて、黒いタイツを履いてきたのだけど、それをどこかで引っかけてしまったらしい
えええ気付かなかった!恥ずかしいな
しかもそれをやつに!メローネにずうっと凝視されていたなんて余計に恥ずかしい事実だわ(く くつじょく…!)
どうして、

「どうして早く教えてくれないのよ!」
「ところで折り入って話があるんだが」
「聞けよ人の話!…ッ!?」

衝撃
気付けば背中が、あたたかく柔らかくて、視界には、ヤニでちょっと汚れた天井
…ええと

「オレはね、一度こういうタイツとか、ストッキングとか、そういうものを破って犯ってみたかったんだ!
グラッツェ!君と一緒ににいれて、本当に嬉しい、オレは幸せ者だ!」

もう勝手にしろよという気分だった
ノリノリになってしまった以上、気絶でもさせない限り止まらないのは知っている(あたし『してもいい』なんて言ってないのに!)
それで、タイツの穴は小さいけれど、指を突っ込んで上下に引けば、簡単に裂けてしまうだろう



…これは、試練だ
こいつと付き合っていくための



ぷつぷつぷつ、とゆっくり、ほつれていく音がした

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ