おはなし
□12.31
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12月31日、
ナターレも終わってもうすぐニューイヤー!…って時に、何故か俺は、名無しさんんちの大掃除に付き合わされていた
要らないものを捨てて、要るものはきちんとしまって、埃を掃って、拭いて、綺麗にする
なんで今日するんだよと思ったけど、どうやらそれが彼女の故郷のしきたりらしかった
いやいや馬鹿になんかしてない
これでも異文化には寛大な方……たぶん
…ん。あ。変なの、とは思ったけど
さてそれはともかく、俺が呼び出されて効果があったのかというと
「あーもー全然片付かないじゃないの!」
名無しさんが、掃除前に比べて更に酷くなった部屋を見渡して嘆いた
日が落ちるまで時間をかけても、終わる見込みは皆無だった
別に名無しさんの家が広いというわけではなくて、単に、掃除中度々二人でだべってしまったんだ
そうして、徒に時間が過ぎていって、このザマ
ひとりの方が良いんじゃないか、と尋ねたけど、本人が「怠けてしまう」と言うし、俺もこの空間を捨てることが勿体なくて、出て行けなかった
「イルーゾォ、もういっそのこと、貴方のスタンドで、これ始末…」
「鏡の中を物置にする気かよ!
しかも、生物じゃあないと入れられない…」
しかも俺のスタンドはそんなに長く持たないんだよ、ごめんな
そりゃ役に立ちたいけどさ
でも、セコいことすんじゃなくて、さ、手を動かそうぜ
名無しさんはむっと頬を膨らませていたから、なんか罵声が飛んで来そうだ
「イルーゾォ、ケチ!」
ほら
しかしケチ!、と言われても…
生物じゃあねえなら許可のしようがないし……(名無しさんだって分かってる筈だが)
どうしようもできない
物置に使われてもMIMは屈辱だろうしなあ
(あ…)
思った
我ながらそれは少しアブないだろとは思うけれど、逆に考えるんだ
物が出来ないんなら、名無しさんを向こうに置いてしまえばいいんじゃあないか、って
そうすれば、名無しさんは片付けに苦しまないし、なにより俺の独り占……
…だめだ
残念ながらそれを名無しさんに打ち明ける度胸を、俺は持っていないんだ
だから行動なんてもっての他
何も言わず鏡詰め?出来る訳無い
NOなら無理矢理?嫌だそんなの
はぁ、と溜息をついて落胆する
なんて意気地無しだよ、まったく
名無しさんが「嘘!嘘だよ!イルーゾォ、ありがとう!」と肩を叩いていた
大方自分のせいで傷付いた、と勘違いでもしたんだろう
(まあ言えたところで持続短いのは変わらないんだった)
⇒あとがき