おはなし
□パウザ
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「なァー名無しさん、何やってんだ?」
「わっ」
>>パウザ
ハロウィン間近
お菓子屋さんのバイトの途中で友人に発見された
しかも興味津々に近づかれた
いつも会う通りの、耳まで隠す帽子を被って、ハイネックでへそ出し(ここだけは寒そう)
わたしの余り好きじゃあないゼブラ柄のパンツ
通りで客引き、それは売上貢献のためでも、自分の姿を見られる可能性がとても高いから、当然といえば当然だけれど
更に店もランプやら、カボチャやらでオレンジ
目立つことこの上ない
正直、いくらハロウィンだからって三角帽子に長いローブを着た姿なぞを見られたくはなかった
ちょっと恥ずかしいというか屈辱というか羞恥プレイというか
「わからない?」
「いや、わかる」
ローブを広げてみる、そしたら
わかるんだけどよォー、とじぃっと観察された
指を口元になんか宛てちゃって
まったくもう、似合わないんだよ
つうか、あんまり見ないでほしいんだけどな
バスケットのサービス用のお菓子も配れないよ、早く行ってくれないかな、などと考えてるうちに
「なんでお前あっちじゃねえのかな、って」
聞いたのはそんな言葉
くいっと親指で後ろを指した
その先を見たなら、背が高くて、スタイルのいいブロンドのお姉様
外に出て宣伝しているのはわたし以外に数人いるけど、1番の貢献度は彼女だろうと思うくらい
ぴゅう と風が吹いて、幾らか枯れ葉が舞ってきた
……ああそう
「ごめんなさいねあんなにキレイじゃあなくって!」
バスケットのお菓子をいくつかわしづかみ、顔面に思いっきりこの男に投げ付けたい気分だ
だって別にあんた好みの女に生まれてきたいわけじゃないっつの!
わたしは日本人でもあるしっ、そんな伊美人なの絶対無理に決まってんでしょうが!
そう不機嫌丸出しに吐き捨てると、多少焦ったような返事が直ぐさま飛んできた
「違え違え違えよ!
格好の話だっつぅーの!」
……格好?