おはなし

□ケアレス コンヴァセイション
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「いらっしゃいませー!」
「どうぞご覧くださいー」


31日までガッチリ稼いでやる!


…と思ってお菓子屋さんのバイトを入れました 副業です。一応、本業の任務は何も入っていない期間だったし

しかし正直こっちの方が稼げるんじゃあないかと思う、ごめん

店の中、外にジャック・オー・ランタンを置いて、ランプで飾って、夜には爛々と輝くイルミネーションに

バスケットにお菓子を入れて持ち歩き、まるで風俗店のような客引きをして

だってこの時期、他店舗も気合いが入っている。負けるわけにはいかない

店長に渡された魔女の仮装をしつつ、わたしは頑張ったよ…東洋の魔女はウチだけだとかなんとか



そうして



「さむーっ!
あっ、中でもあまり温度がかわらない!あはは貧乏!」

夕方近く、久しぶりにアジトに帰った

店の方で暖房かかってたからついその気でいけど、そんな余裕無いの忘れてた

これであのパッショーネの暗殺チームなんだから、笑える

冷たい風が入って来るので急いでドアを閉めた

ぱっと顔を上げて



「6日ぶり」
「ハイ…」



赤い目に射抜かれる

ばちんとデスクのリゾットと視線がぶつかって、そう呟かれた

わたしはただ頷くしかない

6日

わたしが副業に専念した期間で、アジトに戻らなかった期間だ

ばたん、て音を立ててドアが閉まった


「んだよテメーサボりやがって!クソッ!」


次に聞こえたのは苛立つ声と、ガンッと行儀悪くデスクに掛けた足を鳴らす音

うん、ギアッチョの罵声も久しぶりだなあ

そう思っていたら、なに笑ってんだ気持ち悪ィって言われた ひどい

…っていうか



「サボってないですぅーちゃんと許可もらいましたぁー
ねえリーダー」
「さあ、どうだったか…」
「ちょっ」
「冗談だ」



尋ね、返答され、くつくつと喉で笑うリゾットの声が返ってきた

このひとが言うと冗談に聞こえないのは気のせいでしょうか

しかも楽しそうにする、なんとなくそんな気がしただけだけれど




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