おはなし

□ばいばい
1ページ/1ページ

「ドッピオ!ドッピオ!」
「なに?」



街を散歩していたら、後ろからぱたぱたと石畳を蹴る音と、

自分を呼ぶ、最近はもう聞き慣れた声がした

ぼくはギャングだから 一緒にいないほうがいいって言ってるのに

その時に、あぁ あたしもギャングだからって笑ってた

え!?見えないよ嘘でしょ?って言ったら、

ドッピオだって見えないよ って

あれは正直ちょっと悔しかった(最後には信じてくれたけど)


「あたしの愚痴を聞いてくれるよね」


ぼくの隣に並んだきみ

『聞いてくれるよね』なんて、ぼくの意見は無視のようだけど

慣れてしまった

むしろ らしくてちょっと良いなと思ってしまう

いいよ、と了承してうながす

口を開き始めたきみ


「あたしさーぁ」

ひとくぎり

「異動みたい」


「もう!なんでなのかな!」



いどう?



「あの暗殺チーム配属だって
どうするよドッピオ」


「あたし何も上の気に障るようなことしてないわ!」


「でもメール来ててね……どうしてかな…あたし…」


愚痴、と言っていた割に最後は弱々しく

言いたいこと

もう万一が無い限り、顔合わせることもないんだ

聞いたら、うん、と頷くきみ

「なんか、寂しいね」
「…うん」

今度の うん は、ぼくで



「ドッピオー」
「なに?」



それから、じっとぼくの目を見て、

なんでもない

って言ったんだ

それが最後







なんで とか どうして とか 決まっている

お前はドッピオに近づきすぎた

それだけだ

正直、俺の親衛隊で有能なお前を手放すのは惜しい が

いたしかたない

本当は殺すまでいきたかったのだが

わたしのドッピオに免じて

殺すのだけは辞めてやった

そのかわり 遠くへ遠くへ

もしかしたら ヘマして死ぬかもな

そうなればありがたい





=・=・=・=・=・=・=・=・=・=・

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ