おはなし
□勝手に音楽シリーズ
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「メローネ」
「なんだい」
「猫が」
鳴いてる、と言った
さっきから『――』とうるさい
ニャア、だなんて有り得ない声
もう深夜なのだから、寝てしまえばいいのに
最初は小さかったくせに、徐々にクレッシェンド
「赤んぼみたい」
猫の鳴き声と、
赤ん坊の泣き声はよく似ていると思う
か細いところや甲高いところ、心配感を煽るところ言葉じゃないところ、あたしたちには理解できないところ
「そうか?
でも赤ん坊はねこみたいには鳴かないだろ」
「わ」
「だって、惹かれないし」
ぐらっときてぼすん、と音がした
見下ろすメローネで覆われる視界
あとは若干の天井
「君みたいに鳴かない」
「…やかましい」
第二ラウンド