本編2

□10マン1hit記念リク小説
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「ちょうだい」

「センパイの・・・ちょうだい」

自分の呼吸すら邪魔に聞こえた。

なんとか、その掠れた甘い声をもう一度しっかり聞きたくて、オレは身体を止めて、息も呑みこむ。

「もう一回」

「もう一回言えよ」

自分がどんなに余裕ない顔してるかなんて知ってる。

自分がどんなに動揺しない男かも知ってる。



フィールドで、どんなプレッシャーを掛けられても、
かわせる自信がある。

どんな相手と対峙したって臆することなんて一度もなかった。

ただ、ひたすらに、球を吸い寄せ、相手を引き付け、騙す。

その抜く瞬間は。

狂喜。




今は、そんなモンも吹き飛ばす程、興奮してる。

テンションはMAX。

射精は目前。

ナギの一言で、オレは天国も地獄も味わえる。

「ナギ・・。も一回言えって」

ナギの閉じた瞼が薄っすらと開いた。

その水っぽい黒目が揺れて、オレを見る。

ハフハフと短い呼吸音。

ナギの身体は今、正に弾ける寸前だった。

「言えって・・っナギ、もう一回、聞かせろ」

ナギの上に覆いかぶさる。

触れた首筋。

ナギはビクリと背を逸らした。

「ハァッ・・イク・・!」

喘ぐように頭を振り、ナギは握り締めていたシーツから手を離した。

「頼むから。言って、ナギ。『ちょうだい』って聞かして」

「た・・つと、」

ナギが息を呑むのが聞こえる。

「ちょうだ、ぃ・・・!!」

語尾まで耳に届かなかった。

ナギの唇がそう動くのを間近で見ながら、オレはスパークした。

ナギの腕がオレの首に巻かれ、オレは自分をナギの中へめり込ませた。

その体内で。

味わう。

鼓動。


肉同士が噛む。

血で真っ赤に充血した器官がオレ達を一つにしてくれる。

息を喘がせながら、ナギが言った。

「まだ・・出て、る・・センパイ・・」

更に腕に力が篭った。

オレは、今、天国にいる。
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