番外編

□イズミサワケイタの傷
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「センパイ、女なんて知らなくたって平気だよ。セックスならオレ達とすればイイ。女なんかフツウだよ。オレはセンパイとの方が何回もイケるしね」

”オレ達”

やっぱり、呼ぶんだ。いや、呼んであるんだ。

オレのいる階層は底も広いが横にも広そうだった。
這い上がるための壁も見つからない。
オレは制服のボタンを外した。シャツもタイも放り投げる。
ベルトもズボンも勢いで外し、下着も叩きつけるように脱ぐ。

アイツが来る前に、ヤればイイんだ。
アイツが来る前に、一回くらいはイケるかも知れない。
一回くらい。
ちゃんとオレで、オレの顔見て、オレだって認識してイケばいいんだ。

アキタは薄ら笑いを浮かべてオレを見上げてる。
オレはアキタの膝に跨って、アキタのタイを抜いた。
その時、アキタの手がサッと動いた。
耳元に、単調な電子音と発光。
表示はカネダ。
力が抜ける。
燃え上がった瞬間に消火された気分。
オレはアキタの上から退いて、ベッドへうつ伏せに倒れた。
「あ、オレ。うん。ああ、一人。じゃ、昼に戻るワ、ああ」

一人?
誰が?

「カネダは来ない」
思わず振り向くと、その顔に手が添えられて唇が付けられた。
キス。
キスだ。
オレは、アキタがカネダとキスをしてるのをサンザン見てきた。
アキタはオレに突っ込みながら、カネダにキスされてイク。
いつだって、アキタはオレを見ちゃいない。
オレはカネダの替わりにケツを掘られてるだけ。
アキタにとってオレはケツしか用がない。

ハズだ。
でも、今、アキタは、オレにキスしてる。

目を閉じてても涙が出そうだった。
慌てて体を捩って、俯いた。
「は、早くヤれよっ」
「何、センパイ・・・耳真っ赤」
その耳にアキタの舌が入れられる。
ゾクっと体の中を震えが上から下まで走る。
アキタの指がオレの背中を辿り、落ち、肉の狭間で食い込ませるように動いた。
ツプ、と肉は受け入れる。
もう指のように細いモノじゃ、ケツの締め付けで動きを止める事も出来ない。
同様に、中にモノが入ればオレは我慢が出来なくなる。
もっと欲しくなって、足が勝手に開いていく。
カネダが誉める調教済みのカラダ。
「アッ、・・アキ、タ」
アキタの唇が肩をねっとりと舐めつける。
こんなにまともにアキタに愛撫されるのは、初めてだった。
ジェルも何も使ってない。
だけど、濡れた音が聞こえる。
ダメな程感じてる。
心臓に血が廻らない程オレは勃起してた。
グッチャグッチャに中を掻きまわされて、チンポの先が口を開ける。

だめだ・・。イキそう!

「早く、アキタ! 早く挿れて!」
涙声になりそうで叫んだ。
アキタの指が引き抜かれる。
「センパイ、やばいって、・・何かいつもと違いすぎ・・。かわいく見えるよ?」
「ア!!アーーーーー!!」
アキタがオレの腰を強く掴むと、一気に押し込む。
一度もつっかえずに、奥まで届く。
チンポが堪えきれない涎を垂らして、真っ黒なシーツに染みを作った。
「アキ、タ。」
アキタは奥まで挿れるとすぐに、ピストンを開始する。
アキタのピストンは殆ど引き抜かないピストン。
腰をピッタリくっつけたままで、まるでアキタのチンポがどんどんくっついているのに、もっと奥を犯されていく。
「アッ・・アッアッンッンんんッ」
激しく突き上げられて、もう噴出す寸前だった。
「センパイ」
右肩を持ち上げられ、くるっと回転させられる。
「ンーーーー!!!」
「あアッ・・っつぅ。やべ、今のスゲー」
繋がったままひっくり返されて、目の前にアキタが見えた。
目尻が熱い。
雫が線を引いて流れた。
「何・・・泣いてんの・・」
アキタは訊いてるクセに、答えは知ってるって顔で笑う。
もう一度、唇が合う。
上も下もぐちゃぐちゃに繋がってる。
舌が絡み合わされてオレは射精した。熱い体液が二人の間に飛び散る。
キスがあるセックス。
このキスは、一生忘れられない。
人間にこんなに優しい接触方法があるって初めて知った。
アキタ。
アキタ。
アキタ。

「イク。イキそう・・・・ケイ、タ」
名前を呼ばれて、手を伸ばした。
その手を握り返されて、シーツに押さえつけられる。
アキタの腰が激しく突き上げてきた。
ビタビタと打ち付けられる音が響いてから、アキタが震えた。
熱い刺激を腹の中で感じて、はじめて。

ナマで出された事に、気づいた。

そのセックスは、愛し合ってするセックスに似てた。
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