本編

□写真事件
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ナギの中を汚したばっかりに、ナギはジっとしていなければならなくなった。
(動くと穴から精子が漏れるから)
コンクリートの上に二人で寝そべる。
「こうやって、オレ、センパイの精子飲んじゃうんだよな、きっと」
「悪かったって。オレが・・・掻き出してやろうか?」
「ムリ。指で全部出るわけない。きっと奥の方から少しずつ落ちてくるんだろ
うから。時間差攻撃。・・・アレ」
ナギの手がオレの後ろから例のアルバムを拾い上げた。
「あっ」
「うわー、うちのじゃん。センパイ見た?オレ、わかった?」
「あー・・。うん」
「懐かしー。あ、コンちゃん。須賀。タケ。・・・あ、・・」
突然、ナギがオレを真っ直ぐに見つめてくる。
「コレ・・・、センパイ・・・。そうか、アキタさんだ?センパイにこれ見
せたの」
「え」
ナギはクスクスと笑い出し、最後は床で右に左に転がる。
「読めねーんだけど?(話が)」
「昨日だよ。昨日、アンタがアキラの顔を見に行っただろ。その話をオレ、
アキタさんと偶々会って話しちゃったんだ。北村に女紹介させてたって、
そしたらあのヒト。オレが仇打ちしてやるって。
たぶん。コレの事だったんだ。アンタ勘違いしたんだろ?オレが女と肩組んで
る写真見て」
「・・・カンチガイ?」
「でも、残念。オレが付き合ってたコはソイツじゃない。そんなセンシティブ
なマネ、卒業アルバムになんか載せねーよ」

頭がカタイ。
ジワジワと浸透するように、言葉の意味が入ってくる。
じゃ、なんだ?
オレは、ナギと、なんでもない相手に勝手に嫉妬して呻いてたって事か?
そんなんも全部アキタの思惑で?

「チクショ。アイツ知ってて・・・!」
「知りたい?オレと初めてシたコ」
オレの心臓が一拍休んだ。体が、心臓の音とシンクロする。
ナギの手がパラパラとページを捲った。
「いい。知りたくない」
「・・・オレは知りたいよ。センパイが初めてキスしたヒト。
どんなヒトだったか、気になる」
「気にすんな。オレは教えないから、オマエも教えるな。知ったらマジで埋
めたくなる」
「・・・そうだね。興味はある。でも、ムカつくかもな。どうすりゃいいん
だろ?」
「シカトしろ」
「違うよ。どうすりゃ、アンタがオレを一番好きだって思う事ができるんだ
ろうって事だよ」
「!」
「オレ・・・いつもアンタに流されちゃってるけど、オレだってワガママ聞
いて欲しい時だってあるんだぜ?時々でいいから、オレのワガママ(懇願)
も聞いて欲しい。それってオレが好きって事じゃねぇ?」
「・・そうだな・・聞いてもいいけど、オレがオマエしか見てないの、わか
るだろ?つーか、わかれ。」
「う・・ん。・・・・あの写真、ムカついた?」
「かなり」
「アキタさんてスゲー。(狙い通り)」
「アイツも埋めたくなってきたな」
「それじゃ来年のツートップ組めないじゃん」
「来年、・・再来年は、オマエと出たいな・・」
「・・うん。努力シマス。」


そして、一段落。
着いたように思えた写真事件。
これにはまだ、続きが残っていた。
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