本編

□写真事件
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振り向くと、眉間にシワを寄せたハニー。
「オマエ・・!(なんで教室にいねーんだよ)」
「オウ、これからアキラちゃんとこ行ってくるワ」
前を歩いていた北村が戻って来て、ナギに手をあげる。

アキラ・・・!?
まさか、その女か?
質の悪りー、イタズラしやがって!蹴り入れてやろうか。

「へー。・・良かったデスネ。ワタヌキ先輩」
ナギはいつもの控えめな笑顔にメ一杯、感情を乗せて笑うと、踵を返した。
「ナギ、待て。待てって!」
拒否オーラ全開のナギの背中はあっという間に階段へ消えていった。
たぶん、北村から話を聞いて知っていたんだろう。
つい安易に乗った自分が悪い。
女の事はここへ来る口実だったのに!

チキショ!アイツ怒らしてどうすんだ!?

「あ、先輩、あのコッスよ。内田晶」
北村は、まっすぐ目の前へ歩いてくるショートカットを指差した。
「あ、綿貫先輩・・!ヤダ、北村!!言ってから会わせてよ〜〜!」
アキラは恥ずかしそうに笑って、周りを気にした。
「ナリユキだ。許せ」
北村が顔の前で手を合わせる。

ヒョロっとしたオンナ。

感想はそれだけだった。
それより。
「”ワタシの彼を紹介シマス”」
アキラの顔がサッと一変する。
オレはめったに見せない極上の笑顔で言ってやる。
「テメーか・・・。二度とオレの前に顔見せんな。マジ埋めるぞ」
「えっ!?先輩?どうしたんスか?急に」
北村の目がオレ達を見て泳ぐ。
「オマエ、もう、こういう話、オレに繋ぐな。いいな?」
オレは歩き出しながら北村に指差す。
「ハイ!!スイマセンしたっっ」
北村はキビッと体を折った。

コイツのこういうトコロが憎めない。
オレは、ナギの消えた階段を下りた。
もう授業も始まる。
あの雰囲気じゃ、出る気なんてなさそうだった。
アイツがイジけて、一人で引き篭もるとしたら・・・。

保健室。

オレは二度ノックをして返事の無い室内へ入る。
「あら、綿貫君。どうしたの?怪我?」
30過ぎの見た目には若そうな保健医がヤカンを手に立っている。
「・・んだ。先生いたの」
「失礼ね。居ますよ。いつも。」
保健医は大きめのカップにコーヒーを入れスプーンで掻き混ぜた。
そこへたっぷりの牛乳が注がれ、室内があまったるい匂いで満たされた。
「一年来なかった?」
「今、寝てる子だけネ」
「誰?」
「森谷 凪 君。だから、静かにね?」
オレは無視して、カーテンを引いた。
「コラ!」
「少し話すだけ」
後ろ手にカーテンを閉める。
「ったく、なんでそんな自由なの?」
保健医のグチる、ツブヤキ。

あんたも、十分自由だと思うぞ。

ベッドの横の椅子にナギのタイと上着が掛かっていた。
ナギは、壁側を向いて寝ていて、オレが上から覗いてもピクリとも動かなかった。
「ナギ」
「・・・ウワキモノ。ガッコでナギって呼ぶな」
ガラガラに掠れた声。
「ナギ」
オレは、ナギの肩をシーツに押し付けて、顔を寄せた。
「!!」
途端に見開かれる目。いつもツヤツヤしてるから泣いていたのか判別が
つかなかった。
口付けると、精一杯の拒否なのか、口を開かない。
オレはゆっくり舐め上げてやる。唇が欲しがるキスをする。
ナギは舌を絡ませるのが好きだ。
何度もなぞってやる。上唇も下も啄ばむように優しくキスした。
一度、離して、誘惑する。
だが、ナギは強情に目も開かない。
なら、突き進むのみ。
オレはナギのシャツのボタンに手をかけた。
ハッとしてナギの目が開かれる。
「ヤ・・!」
小さく発した声。保健医を気にして拒絶の声も上げられない。
オレの手を掴むナギの手を無視してオレは肌蹴たソコへ舌を這わせた。
「!!」
ナギが息を呑む。
オレは無理に開かせたシャツの中で舌を動かした。
乳首に舌が当たるとナギはビクついて力を抜いていく。
プックリ浮き上がってくる乳首をやわく噛んでからオレは口を開いた。
「話、聞くか?」
「・・いい・・」
「じゃ、キスしろ」
ナギは薄く笑って口を開いた。
鐘がなるまで、オレ達はずっとキスをしてた。
言い訳なんかするより、オレはずっとキスしてたかった。
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