†イザキラ館†
□『未知との遭遇』
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背に腹は変えられない。お金を貯めて、次の仕事が見つかるまで繋げればいいのだ。
「行ってみるしかないよね…」
そうして。なけなしの小銭で、キラは求人雑誌を買った。
「キラ・ヤマトです。よろしくお願いします!」
精一杯元気よく、挨拶してみせた。
スカートの制服は、足元がスウスウと心もとないけれど。
キラは、無事に面接を突破して、仕事と住む場所を確保した。
募集は女性のみだったけれど、女性として受かってしまった。
それには複雑な心境だったけれど、この際細かなトコロは気にしてられない。
一度ついた嘘は、つき通さなけなければならない。
男性だというのがバレたら、職を無くす。例え制服がスカートだろうと、ご飯を食べる為だ、やりきってみせる。
そう意気込んでいたのだけれど、こんな事になるなんて…。
後で、少しだけ、ちょっぴり、後悔することになるのだけれど。
肝心の仕事内容は、簡単に言うとメイドだ。
こんなお金持ちが、こんな近くに住んでいただなんてキラは初めて知った。
正直、門を初めて通る時にはあまりに立派過ぎて躊躇してしまった程だ。