†シンキラ館†

□『恋か打算か』
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「いいじゃん減るモンじゃ無いし」
「減る!」

 最近俺シン・アスカは妙な奴に付きまとわれている。それが何かというと。

「しょうがないじゃん、僕吸血鬼だもん。お腹減るんだよ」

 だからちょうだい! そう言って、こちらの抵抗もなんのその、のらりくらりとかわしていつも首筋に噛みつかれてしまう。お陰で最近の俺は、いつも貧血気味だ。

「焼肉奢ってあげるから、ちょっとの我慢」

とか、そんな問題じゃないっつ――の。とか言いつつ、奴とはずいぶん焼肉に行ってしまっている俺って…。

果たして、焼肉に引かれているのか、奴自身に惹かれているのか、正直最近は分からない。

「なにむくれてるんだよ、僕がおごってあげてるのに美味しく無さそうな顔するな」

 ほら焼けてるの――と、そいつ、キラという吸血鬼は、俺の器にポイポイ焼けた肉を上手に箸でつまんで投げ込む。

「お前は食わないのかよ」
「僕さっき君に貰ったから、お腹いっぱいだもん」

 その満足そうな顔が憎らしく思いながらも何だか憎めない。

 何故なら、この妙な生き物は、俺に腹いっぱい焼肉を食べさせる為に、日々せっせとバイトしてるのだ。そんな姿見せられたら――――。


 もう、結末は決まっているような気がしてならない。



[完]
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加筆07/10/25






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