†キリリク館†
□『恋愛遊戯』
2ページ/44ページ
それは、まるで突然降って湧いたかのような話だった。
「カガリに婚約者!?」
ぼくの双子の姉カガリに、そんなモノいたなんて。まったく知らなかったからビックリした。
本人も男勝りで。黙っていれば可愛いのにと、よく言われていたし。ぼくもそう思う。
ぼくの家は、旧家ではあったけれど没落寸前で。婚約は、大方何処かの成金さんの御曹司とかなんだろうなと思う。
ぼくにもいつか、そんなのが宛てがわれるんだろうとか思うと。憂鬱だった。
でも当のカガリは、寝耳に水みたいで。
「絶対、やだ」
を、繰り返して両親達を苦笑させていた。
「でもね、良いお家なのよ?…ほら、あのザラ財団のご子息で。お嫁にいけば贅沢な暮らしができるわよ」
両親達は、なんとかカガリの興味を引き説得しようとしたけれど。