†アスキラ館†
□『I'll be expecting you』
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良く晴れた日だった。
辺りを線香の匂いと、人々のすすり泣く声が漂う。
白い花輪が無数にあがり、低く通るお経の声と木魚のポクポクとした音が短調なリズムを刻んでいた。
綺麗に、整然と白い花で飾れた斉壇。お供えと、一番上に飾れた黒いリボンで装飾された黒縁の写真は、まだ笑顔の少年だ。
『自分の葬式を見る気分はどうだい、キラ君?』
『………』
どうと言われても、まだ何が起きたのか、よく解らなかった。
キラに話かけた者、彼は死神だと名乗った。そして、迎えに来たのだと。
死神は随分、若い姿をしていて、黒い装束を纏ってはいるものの物語みたいに鎌なんか持ってなくて。
『急だったからね、死を受け入れられない事は良くあるものさ。でも、君に与えられた時間は無限じゃないよ?』
『…どういう、事ですか?』
『四十九日って知ってるかい?』
『…聞いた事は、でも意味は知りません』
死神が、フッと瞳を細めて笑った。