†アスキラ館†

□『Secret☆Work』
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 キラ本来のショートの茶髪は可愛らしくウェーブのかかったウィックでツインテールに、唇には淡いピンクのグロスが光っている。

 それだけでアスランは思わず深い溜め息を吐く。けれど同時に悪戯心もムクムクと芽生えた。

「ご、ご希望のメニューは…?」

 一応メニューを眺めているアスランに、キラは恐る恐る問い掛ける。

「さて、何して貰おうかな…」

 呟いたアスランの顔が、ちょっとだけ意地悪く笑っているのを、キラは不幸にも見逃せ無かった。

「この、ジャンケンに勝ったらキスとか」

「う」

「黒ひげに勝ったらキスとか」
「うう」

「あっち向いて――に勝ったらキスとか」

「ううう」

 メニューを読み上げるたびにアスランの機嫌が降下していく。

「いったい何処にするつもりなんだ」

「…く、くち以外で、ご希望のところ?」

「へええ…」

 アスランの笑顔が怖くて、キラは、今更何の足しにもならない言い訳を必死に口にする。

「だ、大丈夫だよ。今まで一度も負けたこと無いから…!」


 その通り、キラは勝負事には神がかり的に強くて、一度として客に対してキスをした事は無かった。

「ふうん」

「……………」


 ――――しかし。

 その後アスランは、その財力に物を言わせメニューを制覇、キラ相手に全勝、メイド喫茶内に絶対不可侵な伝説を残した。






 勝負事で、一度もアスランに勝てたことの無いキラだった。






[完]

初出:作品ランキング投票後コメント覧 07/冬

加筆:08/04/02 18:32


…落ちた?



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