†アスキラ館†
□『Secret☆Work』
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「おかえりなさいませ、ご主人さ―――…」
そこで、栗色の髪のメイド姿の少女は言葉をプツリと詰まらせた。ついでに表情までもカチンと凍りつかせたまま固まって、客であるご主人様を凝視している。
「ここでバイトしてるって、本当だったんだ。――キラ」
「…ア、ア、ア、アスランッ、なんで君がここに!?」
「カガリに聞いて」
――――あんの馬鹿姉ッ!!
心の中で、いくら悪態をつたとしても後の祭、一番知られちゃならない人に見つかってしまった。
背中をヒヤリとした汗が伝う。
アスランは、そんなキラの心の内など察する事も無く、キラの姿を頭の先から爪先までジックリと見渡す。
「それにしても…」
所謂ここはメイド喫茶。勿論キラの着ている制服は、ちょっとフリルの多めの黒を基調としたメイド服。メイド服といえばスカート。けれど、でもキラは…。
「なんて格好だ。だいたいお前、おと」
「うわぁ――ッ」
慌ててキラは、アスランの口を自分の両掌で塞いだ。
「し、失礼しましたご主人様。お、お口元に…よ、汚れが…」
苦しい言い訳をしながら、キラは引きつった微笑みを浮かべる。
今アスランの口は、確かに男と言いかけた。それを言われちゃお仕舞いだ。
キラは一応、女の子としてここにいる。
それを見たアスランは、なんとも言えない気の毒そうな視線を向けた。