†キリリク館†
□『ブラザ-・コンプレックス』
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噂に聞いた。
兄に言い寄っているのは、兄と同じ高等部3年の先輩で。名をイザ-ク・ジュ-ル…って、中等部3年の俺でも知ってる。
優秀で美形でク-ルで…とは、同じクラスの女子の言いようだけど。
男じゃないか!?…いや、女でも困るけど。
兄は。もちろん俺が、自分にどういう感情を持っているかなんて知らない。
世間的には兄弟だから。悔しいけれど、他の奴らみたいに気軽に言うわけにはいかなかったし。
告白の行方がどうなったのか、わからいけれど。意識して見てみると、兄とそのイザ-クという人は唯でさえ仲がいい。
告白されたっていうのがあるから。
はにかんで話す兄の表情を見ると、胸の辺りがモヤモヤするし苛々もする。
それが、俗に言う嫉妬なんだと気付くのには、そう時間はかからなかった。
休み時間、窓際の自分の席から、窓の向こうを見る。
向かい合った校舎は高等部。窓からは、廊下が見える。丁度、キラのクラスの辺りだ。
ふとシンの瞳に、何やら楽しそうに話をする、キラの姿が目に入った。
誰と…、と思って目を凝らすと。相手は噂のイザ-ク・ジュ-ル。