短編

□甘い華
3ページ/4ページ

――――――――
初めは目を疑った




あのクソ虫野郎の痕跡をたどり、走ると甘い匂いがした


なぜか気になってそこにむかえば、野郎共が群がって何かをしていた


それにイラとはしたが、あいつを見つけるのが先だと再び走りだそうとした

あいつの叫びを聴くまでは


その声は、どこか甘く掠れていたが確かにあいつの声だった

声の発信地を見る。
そこはあの野郎共の所で

ふと、中心に白い肌色の手が見えた

まさか…

そっと近くによる

「―ぁ…たすけっんぁ…」

「―…っ」
野郎共の間から見えたのは…臨也だった

目の前が真っ白になる

ただおもったのは、男共を…殺す

それだけだった






――――――――

大きな音が聞こえた

何かが壊れるような音


本来ならその音に正気に戻るはずの大きな音


でも今は身体が疼いて

音に反応した男達の手が離れた事によって、その疼きは酷くなる


「ぁ…やだ…ふっ…んっ」

風が身体に触れるだけでも反応してしまう


「…臨也」



「ぁ…………し…ずちゃ…」


閉じていた瞳をあけるとサングラスをした、男―平和島静雄―がいた


「なん…で…」


――――――――
――――――――




気が付いたら近くのパイプを千切り男共を殴っていた



周りにいた男共は全員血を流し倒れ伏している


そいつらから視線を臨也にむける

白い肌が所々赤く染まり、肩には切られた服がぶら下がって、普通より卑猥な雰囲気を醸し出していた

そっと近づけば微かに震えているのがわかる



「…臨也」



「ぁ…………し…ずちゃ…」


閉じていた瞼が開き潤んだ赤い瞳が驚きで見開かれる


「なん…で…」



「…なにしてやがる」

手に絡まる鎖を外そうと手をのばす

「…ぁ…ぁんっ…」


――――――――

静ちゃんの手が伸びたとき静ちゃんのため息が首に掛かった


たったそれだけなのに

「ぁ…ごめ…」


身体は限界だったみたいだ
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ