短編

□甘い華
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池袋のビルの隙間…
所謂裏道


そこにうずくまる黒い影

「…っ。まずいなぁ〜…」

壁に背を預け休みながらも、息を荒げる
何時もの人間観察をしに池袋に来たのはいいけど、
いきなり抑えつけられ瓶の中身を飲ませられた

何かの薬が効く前に逃げてきたのはいいけど、体中が暑くて
苦しい


「…はっ…こんなとこ静ちゃんには見せられないね…」

出逢い頭に何かしら投げてくる男
いつもは逃げるんだけど


…流石に今会ったら逃げられない…


平和島静雄


平和や静かとは真逆の存在
なにしても死なない

そして今、俺の興味を引く一人


「っ……んっ…」


微かに身じろぎするだけで、全身が悲鳴をあげる

痛みではなく

………『快感』に


少し動いただけで頭の中が白くぼやける
耐えるように体を自ら抱き締めた

「…んっ…はぁっ…」



――――――――


街がくせぇ


イライラしてくる

懐から煙草を取り出し、足を早める


ふと、普段なら素通りする裏道に目がむく


「あ゛?」

裏道の入り口少し入った所に銀色に光る何か

近くとそれはとても見覚えのあるモノ


「あの野郎!!!」


あの折原臨也のサバイバルナイフだった

その道なりに足を進め奥に進んだ
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