Novel

□交差する思いで10のお題
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 スノウが来たことにより、やっとギンタから解放されたナナシは適当な理由をつけ彼らとは別れた。

“会いたい”

 たった一つの衝動に突き動かされ、城の廊下を足早に歩く。
 さっき覗いた図書館にはいなかった。
 ―――だとすれば…

「アルちゃん、自分や。入ってもええ?」

 軽いノックと共に声を掛け、どうぞ、という声と同時に扉を開けた。





〜好敵手はお前だけで充分〜





 後ろ手で扉を閉めながら、ベッドの上に腰掛けながら本に目を落としている蒼い髪少年を確認し、自然と頬が緩むのが分かる。
 青い髪は窓から差し込む太陽の光を受けさらに鮮やかに色を増し、本を読むためにそっと伏せられている長い睫毛は頬に少し陰を落として、光を浴びて輝く白い肌をさらに強調させている。見事なまでの白と蒼のコントラスト。
 まるで一枚の見事な絵を見ている気分になってくる。

―――ホンマいつ見ても綺麗やなぁ…

 溜め息ものの美貌をこっそりと堪能しつつ心の中で称賛する。
 いつまでたっても用件を言わないナナシに先に痺れを切らしたのはアルヴィスの方だった。
「何の用だ?」
 本から目を離さずに淡々と言うも物言いは、明らかに言外にくだらない用なら邪魔をするなと言っている。そんなアルヴィスの様子に思わず苦笑いが漏れてしまう。
「ベルちゃんは?」
「散歩」
 いつも一緒の妖精の姿が見えず問いかければ、これもまた淡々と簡潔に返される。

「…別に用ってほどの用はないんやけど」
「なら邪魔するな」
 やはり本に目を落としたまま、気持ちのいいくらいスパッと切り捨てられてしまう。でもそんなことでメゲていたら、とてもじゃないけれどこの子は落とせない。
 もとよりアルヴィスには悪いが、これで諦めるような殊勝な性格はしていない。

「ヒマやねん、かまって」

 言うと同時にアルヴィスの隣に腰掛けそのまま体重を倒し、もたれ掛かるように華奢な肩に両手を回し抱きつく。
「鬱陶しい重いひっつくな!」
 突然の抱擁に暴れるアルヴィスに肩に回す手に少し力を入れる。
「大体ギンタたちはどうしたんだ?」
 さっき一緒にいただろう、という言葉と一緒に窓の方を顎でしゃくられ目をやれば、なるほど、さっき自分たちがいた場所が見える。







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