魔界近郊

□★悪魔
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「プライドってんなら俺もさぁ。今まで連勝記録更新中だったのにお前のせいでパーだよ!いい加減堕ちろよ、結構ハマるぜ?」

 何が何で連勝なんだか。みづきにとってはどうでもいいことだった。というか、何でここまで意識を読まれているのだろう?今まではこれほどでもなかった。

「そりゃお前。何だかんだで結構一緒にいたし、嫌でも波長はあってくるわな。だからお前も諦めて……」

 冗談じゃない。諦めるというならそっちのほうだ、これ以上一緒にいても話を聞く気なんてないし、私以外に標的を定めればいい。

「ってもさぁ、お前って結構魔≠ノ好かれやすいタイプだぜ?俺もそうだけど……気付いてない?お前、やたら生傷多いじゃん。アレ、小悪魔の仕業な。ま、俺が発破かけてっから被害は削減されてるぜ。これでもA級悪魔だからな、俺」

 何だ、それは。それを聞いてどうしろというのだろう。恩を感じて、魂を売れと?そんな安っぽい命を持った覚えは、みづきにはない。

「てめぇ、少しは感謝しろよ。悪魔が無償でサービスするなんて滅多にないんだぞ?ホントお前は……清々しいくらいやなヤツだな。益々惚れたぜ

 みづきは、本気でうっとうしくなってきた。飄々とした悪魔には、何を言っても無駄なのだろう。いつもの、強行手段に出ることにした。

「大体お前はなぁ……っておい、もう寝るのか?待てよ、コラ!まだ言いたいことは……

 悪魔の声が、だんだんと遠のいていく。

 徐々にでしゃばってくる悪魔の手が、比較的及ばないのが夢の世界だ。今の所、これがみづき唯一の安らぎの瞬間といえる。

 その内、悪魔は夢の中にまで侵入してくるかもしれない。もしくは、ヤツの言葉を信じるなら別の魔の物――例えば夢魔だとかが、やってくるかもしれない。

 だがそれは、今考えても仕方ないことだ。

 目が覚めたら、またうざったい会話をするのかと思うと吐き気がして、同時に何故だかそれが日常の習慣の一部になりつつある気もしてきて、一気に気分が悪くなる。

 どちらにしろ、当分この共存は続きそうだった。

 夢の中で、みづきは悪魔をいびり倒す算段を膨らませ、口端がつり上がる。

 悪魔は悪魔で、話し相手のいなくなった意識の中、朝までどうやって暇をつぶそうかとしょうもないことで途方にくれていた。





〜了〜






ゼミで,原稿用紙3枚分提出しなきゃならないのをうっかり☆忘れていた所,前日に友人からメールで教えられ大慌て。
その日,他にも文芸部用の原稿ためててソレやるつもりだったので本気で焦りました。
結局,文芸部用は途中まで家で書いて学校で清書,印刷。
ゼミの原稿,つまりコレは授業の空き時間にギリギリ書き上げました。
おいらにしてみりゃ珍しい終わり方っす。起承転結の内,転がない気がするけど,ソレはゴメンナサイってコトで。
友人に見せたら,「アンタ本当にこういうの(悪魔とか魔族とか)好きね〜」って言われた。
うん,好き。
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