学園果実.
□:生物室.
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「な、何これ」
準備室の中は、何かが腐ったような生臭い臭いが充満していました。
鼻をしっかりとおさえて準備室に入ると、部屋の奥に白衣を着た女性が座っていました。
女性はFさんに背中を向けていて、机に向かって作業をしていました。
「あの、すいません」
「………」
Fさんが声をかけると、女性は振り向きました。
女性の顔を見て、Fさんは驚愕しました。
「ひっ、いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
女性の目は限界まで開かれていて、頬にはベットリと赤い血が付着していました。
女性の右手には銀色に光るメスが握られていて、左手にはお腹がポッコリと膨らんだウサギが握られていました。
「いや、いやあああ!!」
準備室を出ようと、Fさんは出入り口に向かって走りました。
ガチャガチャ、ガチャガチャとドアノブを動かしても扉は開きません。
「どうして?どうして開かないのよぉお!!」
カツン、カツンと音を立てて白衣の女性がFさんに歩み寄ってきました。
Fさんは女性から逃げようとしましたが、扉は何かにうちつけられているように開きません。
「助けて!!誰か!!」
ドンドン、と扉を叩いてもFさんの言葉は誰にも届くことなく、生臭い室内に響きわたりました。
女性はそんなFさんをあざ笑うかのように顔を歪ませて、Fさんにメスの刃先を向けました。
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