学園果実.

□:図書室.
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図書室で発見されたEさんは即死していて、その手に黒い本は握られていませんでした。

しかし、Eさんが死んだ次の日から黒い本の噂は生徒に広がりました。

黒い本には人間が知ってはいけない真実が書かれているとか、その人が一番知りたくないことが書かれているとか、様々な憶測が流れましたが結局はどれも真実味を帯びていませんでした。

Eさんが亡くなった今、姿を消した黒い本の内容は誰も知りません。

「お前は、黒い本に何が書かれていたと思う?」
「え、」

珍しく、イチゴさんは私に意見を求めました。

私は少し考えて、イチゴさんの反応を見ながら少しずつ答えました。

「私は、Eさんが知りたかったことが書いてあったのだと思います」
「何で」

間髪入れずに質問するイチゴさんに戸惑いながらも、私は何とか言葉を繋げました。

「Eさんは、怖い思いをしていたのに本を読み続けていて、でも読むのをやめなくて」
「なるほどな」

ふむ、とイチゴさんは指を顎に当てました。

眉間にしわを寄せて考えるイチゴさんは、険しい顔をしていました。

「お前、もし黒い本が手元にあったら読みたいと思うか?」
「は、」

命をかけても知りたいことがあるか、と聞かれて私は困りました。

命はかけたくないけれど知りたいことはある、というのが本音です。

「イチゴさんは、黒い本を読みたいですか」
「質問してるのは俺だ」
「す、すいません」

謝って、私はイチゴさんに自分の正直な気持ちを言いました。

そうか、とイチゴさんは表情を曇らせました。


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