学園果実.
□:屋上.
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(ほら、やっぱりいない)
地面には女子生徒の死体も何もなくて、Aさんはホッとしました。
きっと自分は夢を見たのだろう、と思い直そうとしたその時でした。
「つっ!!」
ガチャリ、と屋上の出入り口である扉が開く音が辺りに響き渡りました。
振り向くと、Aさんの顔色が悪くなりました。
「どう、して」
扉を開いたのは、さっき屋上から落ちたはずの女子生徒でした。
女子生徒はまっすぐAさんの所にきて、またフェンスを上り始めました。
「あ、あ」
恐怖と驚愕から、Aさんはその場から逃げることが出来ずに、ただ女子生徒を見つめていました。
そしてまた、女子生徒は屋上から地面に向かって飛び降りました。
「やめて、もうやめて」
屋上に来て、落ちて。
屋上に来て、落ちて。
金縛りにあったように動けなくなったAさんは、延々と女子生徒の自殺を見せつけられました。
終わりのない自殺。
逃れることも逃げることも消えることも死ぬことも出来ない自殺。
「いや、いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
もうこれ以上、Aさんは繰り返される自殺を見ていられませんでした。
Aさんは何かにとり憑かれたように叫んで、無我夢中で走りました。
先に道がないことなんて知らずに、Aさんはただ走り続けました。
「あ、」
Aさんが気づいた時は、もう遅かったのです。
Aさんはそのまま屋上から地面へと落ちて、二度と目を覚ますことはありませんでした。
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