人形家族.

□:おきあがりこぼし.
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数日後、Gくんは弟さんの腕に抱かれて庭を歩いていました。

Gくんはおきあがりこぼしのように両方の手足がなくなっていて、生気のない目をしていました。

Gくんはおきあがりこぼしではなく人間だったために、もう2度と起き上がることは出来ませんでした……。

「話は終わりです、どうでしたかあにぃ」
「あにぃはやめて」

失礼しました、とユキくんはいつもの笑顔を浮かべて言った。

「ではハレ兄さん、お話は楽しかったですか?」
「怖い話に楽しいも何もないと思うけど」
「それもそうですね、あとハレ兄さん、ものすごく怒っていますか?」
「別に」
「怒ってますねあにぃ」
「うるさいな」

クク、とユキくんは完全に俺をバカにしていた。

「はは、ハレ兄さんは相変わらず面白いですね」
「年上の人間をからかわないでくれる?ていうかユキくんにはもっと僕を敬って欲しいんだけど」
「敬いましょうか?」
「………」

いい、と僕はすぐに首を振った。

俺を敬うユキくんの姿を想像したら、あまりにも白々しくて寒気と殺意が生まれたから。

「ところでハレ兄さん、あにぃでちょっと思ったんですけれど」
「何を」
「あの、そろそろ僕をユキくんと呼ぶのはやめてくれませんか?」
「は?」

意外な言葉に目を丸くすると、ユキくんは目を細めました。

「今さら何でそんなこと言うの、昔からずっとユキくんって呼んでいたじゃない」
「だ、だって」

ギュ、と不意にユキくんは僕の両手を掴んだ。

驚いて、僕の身体は一瞬で硬直した。

「ハレ兄さんに、年下扱いして欲しくないです」
「そ、そんなに僕を敬いたくないの?」
「違います、男としての意地といいますか、頼って欲しいといいますか」
「………」

ユキくんが言いたいことが全くわからない。

わかることは、ユキくんって呼ばれたくないってことぐらいだ。

「でも僕がユキくんのことを呼び捨てにするのもおかしくない?」
「そうですか?」
「そうだよ、ユキ」
「!!」

カアッ、とユキくんは真っ白な顔を赤く染めた。

駄目だ、ユキくんの気持ちがますますわからなくなってきた。

「すいません、やっぱりユキくんでいいです」
「うん、僕もそう思う」

耳まで真っ赤にしてうつむいているユキくんに何て言葉をかけたらいいかわからなくて、僕はポンと肩を叩いた……。


...fin
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