人形家族.
□:やじろべえ.
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次の日の朝、Eくんの部屋からEくんの惨殺死体が発見されました。
Eくんは身体の胸の下から切断されていて、まるでやじろべえのように両腕をユラユラと揺れていました。
お姉さんの両手に、体を支えてもらいながら。
「Eくんは結局首を振ったんだろうな、嘘でもうなずいて置けば死なずに済んだものの」
「クモリ姉ちゃんは、嘘でうなずかれたら嬉しいと思う?」
「………」
いや、とクモリ姉ちゃんは首を振りました。
「だからEくんは嘘をついて生きるよりも真実を告げて死ぬことを選んだんじゃないかな、嘘をついてもお姉さんは喜ばないってわかったから」
「どちらにしても崩壊は近かっただろうしな、そもそも姉として生きるか女として生きるかを考えていること自体が道から外れているのだから」
姉として弟に接するか、女として弟に接するか。
悩んだ時点で、答えはもう決まっていた。
「悲しいね、どちらか迷っていても結局答えは決まっているんだから」
「選択肢の重さが違うからこそ、人は生きていけるのだろう」
迷ってばかりでは、先に進めないから。
そう言ってクモリ姉ちゃんは、僕の首に自然な動きで手を伸ばした……。
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