人形家族.
□:操り人形.
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その日を境に、Cくんは実の弟さんを真剣に愛するようになりました。
その愛が嘘なのか本当なのかは知りませんが、2人は幸せでした。
「めでたしめでたし、怖い話にしては珍しくハッピーエンドでしょう?ハレ兄さん」
「どこが?」
ユキくんの言葉に、僕は思わず突っ込んだ。
「幸せな終わりですよ、だってCくんと弟さんは両思いなのですから」
「でもCくんは」
「ハレ兄さん、他人が不幸せだと思っていても本人たちが幸せだと思っていることなんていっぱいあるんです」
「………」
好きな人が自分を思ってくれるのは、きっとすごく嬉しいこと。
しかし、それが偽りでも嬉しいだろうか?
「でも僕は、好きな人を得るためには人形を使いませんけどね」
「!!」
そう言って、ユキくんは僕の手をとった。
王子様のように手の甲に唇を落として、笑った。
「ユキくん、そういうことは好きな人にやった方がいいよ」
「ハレ兄さんだから、やるんですよ」
人形は使いませんが、僕はハレ兄さんを手に入れるためなら手段は選びません。
ユキくんは、名前の通り雪みたいに冷たい声でそう言った……。
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