不幸携帯.

□:スケジュール.
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部活を終えて、Dさんは部員に別れを告げてから学校を出ました。

血のように赤い夕焼け空の下、Dさんは閑静な住宅街を歩いていました。

(何か静かだなあ、いつもは音があるのに)

カラスの鳴き声、子供のはしゃいだ声、車の音、風が木々を揺らす音。

全ての音が遮断された空間に、Dさんは違和感を覚えました。

(誰もいないし、)

自分の足音と心臓の鼓動だけを頼りに、Dさんは歩き続けました。

しばらく歩いた、その時でした。

「Dさん」
「!!」

突然自分と違う音が聞こえて、Dさんは心臓が止まりそうでした。

振り向くと、そこには小さな女の子がいました。

「あ、d?」
「久しぶり、っていうか今日教室で会ったよね」

クス、と笑うdさんはどこか不気味でDさんは恐怖を覚えました。

嫌な予感がしましたが、体が震えて逃げることが出来ませんでした。

「ね、ねぇd」
「なあに?」
「今日、私と会う予定あったっけ?」

恐怖を紛らわせるためなのか、Dさんは言葉を震わせながら言いました。

え?とdさんは小さく首をかしげました。

「ううん、Dさんと約束はしていないよ」
「そうだよね」

Dさんがホッと胸を撫で下ろすと、dさんは続けて言いました。

「だけど、私はDさんに会う気でいたよ」
「え?」

Dさんが驚いた瞬間、dさんは目の前からいなくなっていました。

ハッとした瞬間、dさんはDさんのすぐ後ろに立っていました。

「えっ」

グサ、と何かを刺したような生々しい音が聞こえたのはその直後でした。

Dさんは、何かに導かれたように下を見ました。

「あっ、え?」

Dさんが見たものは、じんわりと赤く染まったお腹と包丁の刃でした。

痛みを覚える前に、Dさんは前のめりになって倒れてしまいました。

「Dさん、大丈夫?」
「………」

誰が刺したと思っているんだ、とDさんはdさんをにらみつけました。

dさんは、うつ伏せになったDさんを静かに抱き起こしました。

「なん、で」
「何でって、Dさんのためにやったんだよ」

子供をあやすような手つきで、dさんはDさんの頭を撫でました。

その手は優しくて、Dさんはどうしたらいいかわからなくなりました。

「Dさんはいつも部活で忙しかったよね、いつも疲れていた。だから私はDさんを休ませてあげようと思ったんだ」
「………」

Dさんは、朦朧とした頭でぼんやりとdさんを見上げていました。

dさんって意外と可愛い顔をしているな、とDさんは状況に合っていないことを考えていました。

「でも本当は、いつも忙しいDさんに私を見て欲しかったからこんなことをしたのかもしれない。Dさんは本当に大変だったから」
「………」

だからといって刺さなくてもいいのに、とDさんは他人事のように考えていました。

Dさんの身体からは大量の血が流れていて、もう痛みも感じないくらい限界に近づいていることも知らずに。

「d、」
「ん、なあに?」
「………」

Dさんは、dさんの顔を見ながら最期の言葉を言いました。

「明日は朝から現社のテストがあるから、早く起こしてね」
「つっ!!」

dさんはその時、怒りと悲しみが混じった切ない顔をしました。

そんなことも知らずに、Dさんは静かに目を閉じました……。


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