学園果実.
□:焼却炉.
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これは、私が高校2年生の時に後輩のユズさんから聞いたお話です。
『:焼却炉.』
私もユズさんもまだ高校に入学していない頃、学校にSさんという女の子がいました。
Sさんは昔から綺麗好きな人で、ゴミの分別や掃除はいつもきっちりと行っていました。
ある日の夕方、Sさんは教室にたまったゴミを焼却炉に捨てに来ました。
(ゴミを捨てたら、ゴミ箱も洗わなきゃ)
お弁当の箱や割り箸、ジュースのパックやお菓子の袋などが散乱していてゴミ箱から異様な臭いがただよっていました。
顔をしかめながら焼却炉の中にゴミを入れると、Sさんは燃えるゴミから光る物を見つけました。
(何だろう)
燃えないゴミが混じっていたら大変だ、とSさんがゴミに手を伸ばしたまさにその時です。
「ひあっ!!」
ガサガサ、とゴミの中から人間の腕が突き出て、Sさんの手を強い力で掴みました。
ググ、と人間の腕はSさんをゴミの中に引き込もうとしていました。
「いっ、たいわよ!!」
Sさんはとっさに、空いた手で燃えないゴミを入れる青い箱から割れたビンを拾いました。
Sさんはビンを大きく振り上げると、鋭くとがったガラスの先を人間の腕に振り下ろしました。
「!!」
「うわあああああ!!」
ザク、ザクと肉に食い込む生々しい感触を感じながらSさんは何度も人間の腕に突き刺しました。
腕の力が弱くなったのがわかると、Sさんは腕から手を強引に引き剥がしました。
(よしっ!!)
今のうちに逃げよう、とSさんが振り返ったまさにその時でした。
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