学園果実.
□:昇降口.
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これは、私が高校2年生の時に同級生のイチゴさんから聞いたお話です。
『:昇降口.』
イチゴさんのクラスメイトに、Qさんという女の子がいました。
Qさんは足が短いことがコンプレックスで、いつも自分の足を他の人の足と比べてため息をついていました。
ある日、Qさんは委員会があったため帰るのが遅くなってしまいました。
(まずいよ、早くしないと昇降口閉まっちゃう)
用務員さんが鍵をかけていないことを祈りつつ、Qさんは急いで昇降口に走りました。
(よかった、開いてる)
Qさんが昇降口に到着すると、扉はちゃんと開いていて冷たい夜風が吹いていました。
早く帰ろうと、Qさんが下駄箱に向かおうとしたその時でした。
ズッ、ズッ
「!!」
何かを引きずるような音に驚いて、Qさんは思わず振り向きました。
「あれ、何もない」
気のせいかな、と考えているとまた引きずるような音が聞こえました。
ズッ、ズッ
ズッ、ズッ
その音はだんだん大きくなっていって、ペースも速くなっていきました。
(まさか、こっちに向かってきているの?)
本能的に恐怖を感じてQさんが逃げようとしたまさにその時、音がピタリと止まりました。
「………」
Qさんは、背筋に寒気を感じました。
音が止まると同時に、Qさんの足首に何かが絡みついたのです。
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