学園果実.
□:プール.
1ページ/3ページ
.
これは、私が高校2年生の時に担任のリンゴ先生から聞いたお話です。
『:プール.』
リンゴ先生がこの高校に赴任した時、Pさんという女の子がいました。
Pさんは水泳部に所属をしていて、次の夏の水泳大会にも出場する予定だったそうです。
ある日の夜、Pさんは先生に許可をもらって1人で泳いでいました。
ピチャ、ピチャとさっきまで生ぬるいと感じたカルキの水も今は肌寒く感じました。
(もうそろそろ、切り上げようかな)
そう思って、Pさんは最後に第4コースで泳ぎ始めました。
ゴーグルごしに映る水の世界は枯れ葉や泥が浮かんでいてあまり綺麗とは言えませんが、Pさんはそれが嫌いではありませんでした。
(あれ?)
Pさんは、前方にプクプクと泡がのぼっているのが見えました。
泡の向こうに、黒い海藻のような物がユラユラと揺れるのが見えました。
(何か、気持ち悪い)
プハア、とPさんはその場で顔をあげて空気を取り込みました。
水着がペタリと身体に張りついているせいか、背中に寒気がしました。
(早く、あがろう)
嫌な予感がして、Pさんは水の抵抗を受けながら足を進めました。
ようやく飛び込み台の所まで戻ってきて、水から上がろうと両手をついたその時でした。
.