学園果実.

□:体育館倉庫.
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これは、私が高校2年生の時に後輩のユズさんから聞いたお話です。


『:体育館倉庫.』


ユズさんの同級生に、Oさんという女の子がいました。

Oさんは先日バレーボール部に入部して、朝練も放課後の部活も一生懸命頑張っていました。

ある日の朝、いつものようにOさんは体育館に来ていました。

「あれ、もしかしてまた私が一番乗りかな」

先生や先輩、同級生のいない体育館にOさんの声だけが響いていました。

「まあいいや、今のうちに準備しちゃおう」

そう言って、Oさんは体育館倉庫に行きました。

体育館倉庫には、重ねられたマットやバスケットボールやバレーボールが入ったカゴ、スコアボードや平均台などが所狭しと置いてありました。

「ええと、とりあえずボールとネットと……」

指折りしながら部活で使う道具を探していると、Oさんの背後から音が聞こえました。

カツン、カツン
カツン、カツン

「あ、先輩ですか?」

Oさんが振り向くと、そこに立っていたのは知らない人でした。

「あ、ごめんなさい、間違えました」
「………」

高校の指定のジャージを着た女子生徒は、黙って首を振りました。

(もしかして、話すのが苦手なのかな)

そう思いながら、Oさんは再び前を向きました。

「えーと、バスケ部か卓球部の方ですか?私はバレー部なんですよ」
「………」

雰囲気を明るくしようとOさんは女子生徒に話しかけましたが、返事はありませんでした。

(あれ、反応なし?)

怒らせたかな、と心配になって振り向くと、Oさんは目を疑いました。

「あ、え?」

女子生徒はいつの間にかソフトボール部が使うバットを持っていて、それを大きく振り上げていました。

「え、え」

ガスン

避けることを考えるよりも先に、Oさんの頭にバットが勢いよく振り落とされました。

マットの上に倒れて動かなくなったOさんを見下ろして、女子生徒はニンマリと笑いました。


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