学園果実.
□:体育館.
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これは、私が高校2年生の時に先輩のカリンさんから聞いたお話です。
『:体育館.』
私が高校に入学する前、カリンさんの上級生にNさんという女の子がいました。
Nさんは身長が高く、部活はバスケットボール部に所属していました。
ある日、部活が終わった後にNさんはユニフォームを忘れたことに気づいて体育館に走りました。
「うわ、真っ暗」
電気がついていない体育館は本当に暗くて、何だか不気味でした。
早くユニフォームを持って帰ろう、と体育館に足を踏み入れた時でした。
ポン、ポン
ポン、ポン
誰もいないはずなのに、体育館にボールを打つ音が響いていました。
(この音、どこから)
辺りをキョロキョロと見回して、Nさんは音がする方向を探しました。
「あ、」
バスケットゴールから数メートル離れた場所に、背の高い人影がぼんやりと見えました。
電気がついていないせいで、人影の胸から上は見えませんでした。
「あ、あの、下校時間過ぎていますよ」
「………」
もしかしたらバスケ部の生徒かもしれない、とNさんはその人影に声をかけました。
人影はNさんの声が聞こえたらしく、床に打ちつけていたボールを両手で持ちました。
人影は大事そうにボールを両腕に抱えて、Nさんが立つ出入口に向かって歩いてきました。
「ひっ!!」
月の光で照らされた人影を見て、Nさんは言葉をなくしました。
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