学園果実.
□:校庭.
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これは、私が高校2年生の時に同級生のイチゴさんから聞いたお話です。
『:校庭.』
イチゴさんの陸上部の後輩に、Mさんという女の子がいました。
Mさんは小さい頃から足が早くて、運動会では必ずリレーのアンカーに抜擢されていたそうです。
ある日の放課後、Mさんはいつものように部員のみなさんと校庭の周りを走っていました。
1、2と声を出しながら走っていると、Mさんは妙な寒気を感じました。
(何だろ、もう汗が冷えちゃったのかな)
ジャージを触ると、汗で少し湿っていましたが普段とあまり変わっていませんでした。
おかしいな、とMさんが首をかしげた直後です。
「!!」
それを見た瞬間、Mさんは目を見開きました。
(何、あの子)
Mさんの目に、何メートルか先で一人走っている女の子が映りました。
頭に鉢巻きを巻いた女の子の体は透けていて、ぼんやりと向こう側が見えていました。
(どうしよう、だんだん近づいてくる)
Mさんたちが速いのか、女の子が遅いのか、徐々にMさんと女の子の距離は狭くなっていきます。
女の子が他の部員だったら抜けばいいのですが、相手は幽霊です。
(女の子を抜いたら呪われるとか、ないよね)
練習中、しかも女の子が見えるのは自分だけのようなので、Mさんは逃げたくてもそこから逃げることが出来ません。
とりあえず目を合わせないようにしよう、とMさんは下を向きました。
「1、2」
「1、2」
とうとうMさん達と女の子が並びました。
(どうか、何も起こりませんように)
祈りながら、Mさんが女の子を抜こうとしたまさにその時でした。
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