学園果実.

□:放送室.
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これは、私が高校2年生の時に担任のリンゴ先生から聞いたお話です。


『:放送室.』


私が女子高に入学するずっと前、高校にLさんという女の子がいました。

Lさんは放送委員会に所属していて、お昼や放課後にはいつもLさんの優しい声がスピーカーから聞こえました。

ある日の放課後、Lさんはいつものように職員室に隣接している放送室に向かいました。

(今日も頑張らなきゃ)

先生や生徒の呼び出しをしたり下校を告げたりする仕事に、Lさんは誇りを持っていました。

Lさんは放送室の扉を開けて、早速機材の電源を入れたりマイクの音量を調整したりしました。

(ええと、まずは教頭先生の呼び出しから)

ポンポン、とマイクを叩いて電源が入っていることを確認して、Lさんはマイクの頭に口を近づけました。

放送の合図を鳴らし、口を開いたその時でした。

「きょうと」

ブチン、と嫌な音を立てて放送室の電気が消えて真っ暗になりました。

まばたきをして、Lさんは辺りを見回しました。

「嘘、停電?」

ハッとして、Lさんはマイクを見ました。

「な、何でマイクは電源がついているの?」

天井の蛍光灯も音響機器も作動していないのに、マイクの電源だけが赤い光を放っていました。

電気が遮断されているのにどうして、とLさんは寒気がしました。

(やだ、怖い)

早くここから出なくてはいけない、とLさんは本能的に放送室を出ようとしたその時でした。


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