学園果実.
□:視聴覚室.
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これは、私が高校2年生の時に担任のリンゴ先生から聞いたお話です。
『:視聴覚室.』
リンゴ先生が高校に赴任して間もない頃、担任していたクラスにDさんという女の子がいました。
Dさんは勉強が苦手で、早朝と放課後にいつも視聴覚室で補習を受けていたそうです。
そんなある日、Dさんは放課後の補習を受けていた時に視聴覚室に忘れ物をしてしまいました。
下駄箱から慌てて視聴覚室に戻ると、Dさんは自分が座っていた机に走りました。
「よかった、やっぱりここに教科書あったんだ」
さあ帰ろう、とDさんが立ち上がった時でした。
「きゃっ!!」
プツン、と音をたてて視聴覚室の電気が消えて真っ暗になりました。
停電だろうかとDさんが驚いていると、カラカラカラという音がかすかに聞こえました。
「な、」
Dさんは、思わず言葉をなくしました。
暗闇の中でボウッと浮かぶ映写機が、ひとりでに回り始めたのです。
黒板の上に大きく垂れ下がるスクリーンに映写機の光が集まり、映像が流れ出しました。
「何これ、学校?」
スライドに移し出されていたのは、夕日が立ち込める高校でした。
誰もいない廊下の映像から始まって、階段、渡り廊下と映像は変わっていきました。
「つっ!!」
下駄箱の映像が映し出された瞬間、Dさんは我が目を疑いました。
「わ、わたし?」
スクリーンに、下駄箱の中に上ばきを入れてローファーの靴をとるDさんが映ったのです。
『あ、教科書忘れた』
「ひっ、」
映像に映るDさんの言葉を聞いて、Dさんはワナワナと震え出しました。
なぜなら、それを言ったのはほんの数分前だったからです。
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