学園果実.
□:美術室.
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これは、私が高校2年生の時に後輩のユズさんから聞いたお話です。
『:美術室.』
ユズさんのお友だちに、Cさんという絵が上手い女の子がいました。
Cさんは美術部の部長をしていて、油絵でも風景画でも何でも綺麗に描くことが出来ました。
そんなある日、Cさんは絵画コンクールに出展するための絵を美術室で描いていました。
他の美術部員はすでに下校していて、Cさんは一人で黙々と絵を描いていました。
(あと少し、もう少し)
立てかけられたキャンパスはCさんの筆によって丁寧に色づけられて、いつしか単色の世界は多色の世界になりました。
紫色の空と青い砂漠、紺色の化石が混在した寒色の幻想世界は独特の雰囲気をまとっていて、高校生が描いたとは思えない素晴らしい絵でした。
(もう少し、もう)
ガラガラガラ、ピシャン
「!!」
突然響いた単調で乾いた音に、Cさんは思わず顔をあげました。
見れば、さっきまで開いていたはずの扉が閉まっていました。
「え、嘘」
言葉を失ったCさんに、しっかりと閉じられた扉が目に映りました。
絵筆とパレットを手近な机の上に置いて、Cさんは扉に駆け寄りました。
内側のカギを何度も開けようとしましたが、いくら力を入れても開くことがありません。
「何で開かないのよ、こんな忙しい時に」
とりあえず職員室に電話をかけて鍵を開けてもらおう、とCさんが冷静に考えた時でした。
「えっ、」
ヒヤリ、と背後から冷たい空気が流れてCさんの背中に当たりました。
窓は閉めたのに、とCさんは窓がある背後に目をやりました。
「………」
振り向いて、Cさんは後悔をしました。
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