人形家族.
□:眠り人形.
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これは、僕が高校1年生の時に2つ年上の姉であるクモリ姉ちゃんから聞いたお話です。
『:眠り人形.』
クモリ姉ちゃんの同級生に、Mくんという男の子がいました。
ある日、Mくんは近所に住む人形師から試作品として不思議な人形をもらいました。
「眠り人形?でもこれ目が開いているんだけど」
「横に倒してみろよ、ちゃんと寝るから」
人形師がMくんに渡した人形は、三角帽子をかぶってパジャマを着た眠り人形でした。
人形師の指示に従ってMくんが眠り人形を押し倒すと、眠り人形は静かに目を閉じました。
「良く出来てるなコレ、へえ面白い」
眠り人形の体を起こすと目が開いて、体を倒すと目が閉じる。
感心していると、人形師は言いました。
「最近睡眠不足だって言ってただろ、コイツ持って寝るとよく眠れるぜ」
「マジで?じゃあ遠慮なくもらおうかな」
人形師に礼を言って、Mくんは眠り人形を持って帰りました。
「ただいま姉貴」
「あ、お帰りM!!」
Mくんが家に着くと、玄関にMくんのお姉さんがいました。
お姉さんは、明るい声で言いました。
「あ、また目の下にクマが出来てるわね。保健室でも眠れなかったの?」
「ああ」
寝不足の頭にお姉さんの元気な声が響いて、Mくんは頭をおさえました。
「ちゃんと睡眠薬も飲んでいるのにね、やっぱり病院に行った方がいいのかしら?」
「そう、だな」
眠ることが出来ないのに眠気はあって、Mくんはうつらうつらとしていました。
(眠い、眠れない)
フラフラと体を揺らしながら歩くMくんを、お姉さんは心配そうに見つめていました。
「M、夜眠れなかったら私を呼んでね。何が何でも寝かせてあげるから」
「別に、いい」
お姉さんに短い返事を返しながら、Mくんはベッドのある部屋に向かいました。
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