人形家族.

□:首人形.
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これは、僕が高校1年生の時に2つ年上の姉であるクモリ姉ちゃんから聞いたお話です。


『:首人形.』


クモリ姉ちゃんのクラスメイトに、Aくんという男の子がいました。

Aくんはある日、近所に住む人形師から試作品として不思議な人形をもらいました。

「ねえ人形師さん、これって人形なの?頭しかないじゃん」
「Aは子供だから見たことないか、これは首人形っていうちゃんとした人形なんだぞ」

丸い人形の首に竹の串が刺さった首人形は、まるで棒つきキャンディーにも見えました。

男の子の顔の首人形をじぃっと見つめていると、だんだんそれが不気味に見えてきました。

「僕、コレいらない」
「あー、Aは男だからお人形に興味はないか」
「うん、これ姉ちゃんにあげてもいい?」
「おう、やっとけ」

人形師さんは、ほほ笑んでうなずきました。

Aくんは人形師さんからもらった首人形を手に、家へと帰りました。

玄関には、待ちかねたようにAくんのお姉さんが立っていました。

「お帰りなさい、A」
「ただいま、姉ちゃん」

物静かな立ち振舞いのAくんのお姉さんは、静かに笑いました。

Aくんは早速、Aくんのお姉さんに男の子の首人形を差し出しました。

「姉ちゃん、これ人形師さんからもらったんだけどいらないからあげる」
「あら、いいの?」
「うん、姉ちゃんは女の子だからお人形好きだし丁度いいと思って」

女の子だから人形が好きだとは限りませんが、Aくんのお姉さんは嬉しそうに首人形を受けとりました。

「ありがとうA」
「大事にしてねっ」

Aくんも、嬉しそうに笑いました。


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