不幸携帯.
□:写真.
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これは、私が高校2年生の時に幼なじみのクキさんから聞いた話です。
『:写真.』
クキさんの知り合いの知り合いに、Eさんという女の子がいました。
ある日の放課後、Eさんは教室で携帯電話に入っている写真を整理していました。
「うーん、我ながらいっぱい撮ったなあ」
Eさんは、友だちや家族と撮った写真やペットの猫の写真を見ながらしみじみとしていました。
次は何を撮ろうかな、とEさんが考えていたその時でした。
「うわっ!!」
不意に画面の右上にメールのアイコンが現れて、規則正しいリズムで点滅をしました。
メールの送信者は、幼なじみのeさんでした。
「何だろう、急に」
メールを開いてみると、そこには何も書かれていませんでした。
メールを打とうとしたら間違って送っちゃったのかな?とEさんが首をかしげたその時でした。
「あれ、添付?」
eさんのメールをよく見ると、添付の欄に未受信のものがあることに気がつきました。
デコメか何かかな?とEさんが携帯を操作すると添付されたものが受信されました。
「あ、写真だ」
受信されたものは、タイトルが書かれていない1枚の写真でした。
何か面白い物でも見つけたのかな、とEさんは写真を開きました。
「えっ!!」
最初にEさんがその写真を見た時、何が映っているか解りませんでした。
しかしそれは、Eさんが解りたくなかったからなのかもしれません。
「e、ちゃん」
写真に映っていたのは、eちゃんが天井から伸びたロープで首を吊っている場面でした。
何度か遊びに行ったことがあるeさんの部屋で、首吊り死体になったeさんの写真でした。
「うそ、うそだ」
何かの間違いだ、とEさんは頭をおさえました。
きっとeちゃんが私をからかっているんだ、これは合成なんだとEさんは何度も自分に言い聞かせました。
「そ、そうだよ!!これはきっとeちゃんのタチの悪い冗談なんだ!!もし本当に首を吊っていたら警察沙汰だし!!救急車も呼ばなきゃいけないしお葬式だってあげなきゃいけないしさ!!」
しかし、Eさんは嘘だと言い切れる自信がありませんでした。
もし本当にeさんが首を吊っているのなら、とEさんは悪い考えを完全に否定することが出来ませんでした。
「eちゃん、」
ガタン、と席から立ち上がるとEさんは急いでバックに教科書や携帯電話を入れました。
嫌な汗を流しながら、Eさんは駆け足で教室を出ていきました。
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