学園果実.

□:屋上.
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Aさんが飛び下りた日から数日後、女子高に不思議なことが起こり始めました。

鍵がかかっているはずの屋上に2つの人影が見えたり、誰もいないはずの階段から2人分の足音が聞こえたりするのです。

その2人は恐らく、Aさんと女子生徒でしょう。

「でもイチゴさん、2人はどうしてまだ屋上にいるのでしょうか?」
「Aも女も、罰を受けているんじゃねえの?」
「罰、ですか?」

ああ、とイチゴさんはうなずきました。

「自殺っていうのは、自分を殺すってことだろ。人を殺したら罰を受けるんだから、Aも女も自分を殺した罰を受けてるんじゃねえの?」
「それが、死ぬことが出来ない自殺ですか?」
「自殺したAと女にふさわしい罰じゃねえか、死にたくて死んだのに死ねないって」

イチゴさんの言葉が、どこか冷たく感じました。

「Aさんは、その女の人に会わなければ自殺しなかったのでしょうか」
「さあな、でも」

Aが自殺をしたという事実は変わらねえからな。

イチゴさんの言葉は正しいのですが、私は何だか胸が苦しくなりました。

今でも時々2人の幽霊が目撃されている、という言葉でイチゴさんのお話は終わりました……。


...fin
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