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猥褻フルコース
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薄暗い部屋の隅、毛利元就は手首に填められた手錠を見て溜め息を吐く。そもそも、何故自分がこのような状況下に置かれているのか、記憶の糸をゆっくり手繰り寄せてみる。夜道を歩いていたら向かいから来た男に道を聞かれ、教えたことまでは覚えているが、其処から今までの記憶が全くない。
気が付くと全裸で手錠をされ、何もない部屋に横たわっていた。
道を訊いてきた男の部屋なのだろうか、それとも――――

「…っ!?」

壁に凭れ掛かり、考え事をしていると、突然自分の身体の中で何かが暴れ始めた。無機質なそれは元就の前立腺や内壁を刺激し、まだ眠ったままの快楽を無理矢理引き擦り出そうとする。漸くその正体がローターであることに気付いたまでは良かったが、それを抜く術がない。下腹部に力を入れ、排出しようとするも、なかなか思うように出て来ない。そうこうしているうちに不本意ながら陰茎を勃起させてしまった元就は、苦笑すると再び床に横たわる。もしこのまま誰も来なかったら、散々玩具でイかされた挙げ句、餓死するしかない。
絶望的な気持ちのまま、少量の精液を放ったその時、扉の向こうから足音が聞こえてきた。嬉しい反面、自分がこれから何をされるのか判らない恐怖に身震いしながらじっと、ドアが開くのを待つ。
やがて、足音がぴたりと止み、ゆっくりと木製の扉が開かれた。

「…貴様は確か、あの時の…!」
「丁寧に道を教えてくれてどーも」

銀色の髪に無気味に光る瞳―左目は怪我をしているのだろうか、紫紺色の布で覆った大柄なその男は不快な笑みを浮かべながら元就に近付くと、芋虫のように丸まっている身体を蹴飛ばした。

「…っ、」
「いてぇか?可哀想に…でも、アンタにはもっと苦しんで貰わねぇとな…」

元親は身を捩る彼の髪を引っ張ると恐怖に引きつる顔を殴り、唾を吐いてやった。
漸く、漸く積年の恨みを晴らす時が訪れたのだ。彼は交響曲第九番『歓喜の歌』をドイツ語で口ずさみながら、足元に横たわるゴミのような元就の身体を蹴り続けた。



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