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一瞬だけでいい君の心をくれないか
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未だに長曾我部元親のことが忘れられないのだろう、彼から貰ったと話していたストラップが大事そうに携帯電話に付けられているのを見て政宗は溜め息を吐いた。
どれくらい経てば彼は元親のことを忘れるのだろう―淡いグリーンで統一されたシンプルな部屋の隅、窮屈な水槽の中を優雅に泳ぐ海月を見ているうちに苛立ってきた政宗は、キッチンでコーヒーを淹れようとしていた元就に近付くと背後から抱き締めた。

「何をしておる。離せ、伊達」
「何でだよ…何で俺じゃなくあいつなんだよっ…」

彼の名前を紡ぐその唇が、彼の姿を映したままのその胸が、彼の愛を受け入れたその身体が憎らしくて愛しくて、相反する感情を抱いたまま、政宗は強引に口を塞ぐと唾液を纏った舌を入れる。
押し返そうとする元就の舌に自分の舌を絡ませると、じっくりと味わう。
引っ込めようとする小さめな舌を吸い、はみ出たそれを唇で挟んでやると、元就はそれだけで欲情したのかくぐもった声を漏らす。
口付けたまま服の上から胸を弄り、乳首を摘まんでやると、身体を捩り政宗の手から逃げようとする。

「…逃げるなよ、元就…優しくしてやるから…な?」
「我は、まだ長曾我部のことが…っ…」
「奴の名前を呼ぶんじゃねぇっ!!」

思わずカッとなり、元就の頬を打つと、怯えて抵抗出来ずに居る彼のズボンを下着ごと下ろし、既に勃起している陰茎をそのまま背後から捻込んだ。

「…痛…っ…!」

異物を押し出そうと肉壁を狭めれば狭めるほど、彼を悦ばせてしまうとも気付かず、元就は必死に粘膜を絡ませる。

「Ah…すげぇ良い…あんたの中もうヌルヌルじゃねぇか…」
「…だ…まれっ…あぁ…っ!」

窮屈な肉を強引に押し分け、肉の棒を更に奥へと進めると、政宗は余りの締め付けの強さに限界を迎え、白濁液を放った。
自分の意志に反し、元就もフローリングの床に体液を散らすと、その場にしゃがみ込む。
好きでもない人に抱かれ、射精してしまった自分が情けない。
絶望に染まる彼の瞳から自然と涙が溢れ、頬を伝い、床に零れ落ちた。

「…Sorry,傷付けるつもりなんてなかったんだ…」

ただ、元就のことが大好きで、振り向いて欲しかっただけなのに…。
政宗は蹲ったままの彼の頭をそっと撫でると、泣き止むまでずっと傍に立っていた。



この想いが報われる日は来るのだろうか―――――



END.

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