水晶の群生地(庭球CP無し)

□千歳ハピバ!
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今までと全く変わってない柔らかな笑顔で、ソイツは言った。
「ちとせ……ホンマに千歳か?」
口を魚のように丸くして問う俺を、千歳は返事のかわりに片手で抱き寄せた。もう片手には真っ白なケーキの箱がさがっている。
動揺を悟られたくなくて、わざと偉ぶった。
「メシの匂いに釣られたか?食いしん坊の千歳クン」
「心外っちゃね。オサムちゃんに誕生日祝って欲しかったとに」
ほら、と言って千歳は例のケーキ箱を突き出す。
「でもお前、妹いてるんやろ。正月ぐらい遊んだれや。」

「大丈夫。明日の始発で即帰るばいね。」
あぁそういう事なら…と俺もようやく折れた。とにかくここは玄関だ。すなわち寒い。

「蕎麦食ってくか?」
「ほんなこつ?」
千歳が顔を輝かす。

「最初に言っておく!たまたま作りすぎただけやからな。ホンマやぞ!」

「はいはい、分かっちょるよ。」

元教え子を部屋に招き入れて、鍵をしっかり閉める。
世界が新しい年に向かって突き進むこの日に、せめて今だけは世界の軌道から外れて二人だけでくだらない話をしていたいと思った。

《END》


HAPPY BIRTHDAY千歳!!!
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