激情に燃える紅玉(庭球CP有り)

□代役なんていらない
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先輩にフられた女の子の慰め役をなりゆきで買って出たら、案の定面倒なことになった。

「なんで興味もない女とHしたの?」
女の声が金属音のように響く。校舎の外で鳴いてる鳥の声の方がよっぽど綺麗だ。
「あれは、そうすれば君の気が済むと思ったから。」
彼女の顔色がさっと変わる。
「何それ。まるで人の事淫乱みたいに。馬鹿にしてんの?」
「別にそういう訳やない。勘違いしとるのは君の方やろ?
君は『一時だけでええ』って言うた。だから俺も一時だけ相手になった。それだけや。だいたい俺もう好きな人いてるし。」
心に冷静さを貼り付けて、やっとそこまで言った。
全く、なんでこんなくだらん事で神経使わなあかんねん。
「白石君は、完璧すぎてたまに人間臭さが感じ取れないよ。兵器と話してるみたい」
当たり前や。お前に理解なんかされとうない。
俺に触れていいのは『あの人』だけや。

「殴りたいならどうぞ。俺は泣きも怒りもせんで。」
もう面倒臭くなって、結論を彼女に委ねた。
「分かった…今後はあんまり女を舐めないでね。」

女の腕が鞭のように翻り、俺の頬を打った。
頬に彼女の指輪がこすれて、唇の端が切れる。


女と別れた後、ローファーを鳴らしながら急ぎ足で進み出した。
「あー……欲求不満。」

一刻も早く、彼の家に向かいたい。
彼の傷んだ髪を梳いて、ベットに横倒しにして、骸骨のような肢体を抱き締めて俺の血肉で満たしてやりたい。

「オサムちゃん…」

《END》
 

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